RGM-86物語

作:澄川 櫂

 RGMー86Rの総生産数は800余機と、主力“ジム”の中ではごく少数に終わっている。これは、当初よりつなぎとしての性格が強かったためである。配備計画の都合上、不足分を補うために新造された機体も存在するが、多くは旧来機種からの改装であった。生産開始から僅か二年でRGMー89“ジェガン”の採用が決定したこともあって、連邦軍主力量産機としての足跡は微々たるものだ。
 だが、その開発過程で編み出された改装手法は、連邦軍が保有するジム系モビルスーツに広く適用され、様々なバリエーションを生み出した。改装用パーツに至っては、RMSー154R“バーザム改”における製造コスト削減や、RGMー87“バージム”等の装備編入改造にも効力を発揮したと言われる。

 RGMー86。それは時流を見誤った失敗作である。しかし同時に、在来機体の再生と改良に多大な貢献を果たした、希有な成功例でもあった。
 一度も実戦配備されることなく終わった幻の連邦軍正式採用機、RGMー86。だが、その血統は数多の改装機へと受け継がれ、戦場で確かに花開いたのである。

(了)

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